地域経済の活性化が日本全体の成長につながる

政府は9日、経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員に経団連の榊原定征会長と日本商工会議所の三村明夫会頭を起用する方向で調整に入った。2015年1月に任期を迎える民間議員4人のうち、佐々木則夫氏(経団連副会長)と小林喜光氏(経済同友会副代表幹事)の後任に充てる。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の推進に当たり経団連との関係を強化するとともに、全国各地の商工会議所を通じ景気回復の地方への波及を加速させたい考えだ。  安倍政権と経団連は、12年12月の政権発足当初、米倉弘昌会長(当時)によるアベノミクス批判により激しく対立。諮問会議、産業競争力会議(議長・安倍首相)とも民間議員に経団連会長を入れないでスタートする事態となった。 しかしその後、経団連はアベノミクスを後押しする方針に転換した。13年6月に諮問会議の民間議員である佐々木氏が経団連副会長、14年6月には競争力会議の民間議員である榊原氏が経団連会長にそれぞれ就任。経団連の意向を政府にじかに伝えるルートを確保し、経済政策の取りまとめに協力している。 こうした経緯を踏まえ、政府は今月初め、経団連の中村芳夫前副会長兼事務総長を内閣官房参与に迎えた。一方、三村氏の登用は、日商の全国ネットワークをアベノミクスの地方浸透に活用する狙いがある。 経団連と東北経済連合会は9日、仙台市内で東北地方経済懇談会を開催した。東日本大震災からの復興を「日本再興」につなげ、イノベーションによる“新しい東北”の創造を議論。復興に向け連携強化を図っていくことを確認した。 東北経済連の高橋宏明会長は地域経済の振興に向けた条件として、原子力発電所の早期再開や国際リニアコライダー(ILC)誘致、観光振興などを挙げ、政府に対する働きかけを経団連に求めた。経団連の榊原定征会長は「地域経済の活性化が日本全体の成長につながる。日本再興には“技術立国・日本”の原点に立ち戻ることが重要」と、イノベーションによる持続的成長の必要性を指摘した。 会合後に開かれた記者会見で経団連の榊原会長は「産業復興が大きなテーマ。復興特区におけるインセンティブなどを政府に求め、投資しやすい環境づくりを目指す」と述べた。一方、東北経済連の高橋会長は、原発再稼働に対する経団連の支援を要請した。(仙台) 三井化学は4月、コピー機トナー用樹脂などを生産する茂原分工場(千葉県茂原市)内に建設した太陽光発電所(発電能力335キロワット)の運用を始めた。固定価格買い取り制度を背景に企業の太陽光発電参入が相次いでいるが、三井化学の狙いは新事業として立ち上げた太陽光発電所診断事業の精度を高める実証設備として活用すること。太陽光発電所のメンテナンス需要の増加を取り込み、診断事業で2020年に数十億円の売り上げを目指す。 「大別して二つの理由がある」―。三井化学新事業開発研究所(千葉県袖ケ浦市)の塩田剛史氏は茂原の太陽光発電所で行う実証の狙いをこう説明する。 その一つが太陽光パネルの正確な劣化データを集めることだ。三井化学は太陽電池セルとガラス板の間に充てんする封止材を長年開発した実績を基に、封止材を化学分析して太陽光パネルが劣化しているか判断できる技術を持つ。これにより劣化した太陽光パネルの寿命や最適なメンテナンス時期が明らかになる。 ただ、実証には電池や仕様が異なる多様な太陽光発電所に対応したデータの収集が不可欠。そこで茂原太陽光発電所は7200平方メートルの敷地内に多結晶シリコン型と化合物薄膜型という代表的な太陽光パネル2種を設置した。 太陽光パネルで発電した直流電流を交流に変換するパワーコンディショナー(PCS)も直流1000ボルト仕様を採用。従来型の600ボルト仕様に加え、普及が進む高電圧型PCSを使う発電所向けの実証を行える。 実証を行うもう一つの狙いは、遠隔監視で発電量をデータ解析することで、数千枚超の太陽光パネルの中から故障パネルを見つけるサービスの精度向上だ。そのため、独自の遠隔監視システムを茂原太陽光発電所に導入した。 現在主流の監視システムは、複数の太陽電池パネルを直列で配線しているストリング(接続箱)にモニタリング装置を設置することで発電量を監視している。だが、パネル10万枚超のメガソーラー(大規模太陽光発電所)ではストリングの数も膨大となり、費用もかさむ。三井化学は実証を通じて、メガソーラーでも効率的な監視で故障パネルを見つけ出す独自システムの精度向上につなげる考えだ。 こうした三井化学の診断サービスは発電事業者だけでなく、「融資を検討する金融機関からもこんなサービスを探していたと好評を得た」(塩田氏)。太陽光発電所の資産価値評価リポートを作成して提供できるため、融資の判断材料として活用できるからだ。 シェール革命を迎える中、国内化学業界は基礎化学品からの脱却を迫られ、環境・ヘルスケア事業を強化している。その一環として立ち上げた診断サービスを軌道に乗せるためにも、実証結果の有効活用が求められる。(水嶋真人)

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