花粉対策事業の柱に育成する

【縁の下の力持ち】 西武池袋線保谷駅から車で10分走ると、デザイナーズマンションと見間違うような社屋が見えてくる。立体駐車場用ターンテーブルで国内シェアトップの約50%を誇る井口機工製作所(東京都練馬区)の本社だ。 社屋に入るとモデルルームのような室内装飾が待ち受ける。社長の井口薫が空間デザインした。インテリアデザイナーを夢見ていた井口の腕前が遺憾なく発揮されている。ここからモノづくりの“縁の下の力持ち”である製造ライン向け産業用ターンテーブルや薄型ディスプレー搬送用ボールベアーなどが生み出されている。 【機械扱える人材】 玉川大学工学部を卒業した井口は、デザイナーになる夢を追いかけるべきか、同級生と同じように大手企業に就職するべきか迷っていた。「当時、工学部を出た学生はもてはやされていて、それなりの企業に入社できた。わざわざ町工場に入社しようとは考えていなかった」。 そのころ、井口機工は数値制御(NC)旋盤を導入しようとしていた。当時の旋盤は自動化が進んでなく、製作工程を作成してプログラムを組む必要があった。「機械を扱える人が会社にいなかった。工学部出身で、甥だったこともあり、白羽の矢が立った」。デザイナーを諦めて入社したのは1977年の春。「営業も製造もすべてやった。トイレ掃除もした」。力戦奮闘の日々が幕を開けた。 従業員10人程度の町工場。「ゼロからの出発ではない。多少なりとも会社としての土台はある。自分の力で大きくできるチャンスだ」と鼓舞するも、「思い返せば、そう考えて自分を納得させていたのかもしれない」と打ち明ける。 【経営見つめ直す】 01年に社長に就任した。米化学大手のデュポンとのクリーンルーム用高機能樹脂製ボールベアーの共同開発、台湾、韓国、タイへの進出と矢継ぎ早に手を打った。入社当時はターンテーブルが年間10台程度しか売れなかったが、08年のピーク時に同300台を販売し、国内トップシェアになった。 08年秋のリーマン・ショックが響き、09年10月期は売上高が前年同月比30%減の約10億円に落ち込んだ。それでも井口は経営を見つめ直す良い機会と捉えて事業のすそ野を広げた。主力のターンテーブルのほか、ボールベアーなどを開発。毎年1機種の新製品を投入した結果、12年10月期に売上高がリーマン前の水準に回復。13年10月期の売上高はピーク時の約14億円を達成した。 しかし、井口に特別な商才があったわけではない。従業員、そして家族の支えがあったからこそ成長できた。(敬称略)JFE機材フォーミング(千葉県松戸市、小林英司社長、047・387・0158)の足場システム「ファステック」が、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録された。小林社長は「花粉対策事業の柱に育成する。NETISに登録されたことを訴求し、4月からの半年間で、2013年度並みの売上高1億円を目指す」と力を込める。 工事現場の足場などとして使われるシステムで、10年に発売した。価格は1平方メートル当たり4000―5000円。同社従来品と変わらないが、重量を約20%軽量化した。また、パーツと組み立て作業を簡略化したことにより、「作業時間を短縮できる。保管料や輸送料などといったコストは30―40%減る」と胸を張る。 同社の14年3月期の売上高は過去最高の32億円だった。15年3月期も同システムで過去最高を狙う。廃業か再建か―。テー・ビー・ケーは板材やブロック材の6面加工が主力の多品種少量の機械加工会社。アルミニウム、ステンレス、特殊鋼などの多様な金属に対応している。東日本大震災の津波で、一度は事業の継続を諦めかけた。しかし、国の補助金も活用してガンドリルマシン(深穴加工機)2台を導入。加工技術を生かして回復から発展への道を歩んでいる。 「国の補助金があるとはいえ、特殊な機械のため購入費は2台で1億円強にもなる。震災前と同様に2台にするか、当面は1台にするか迷ったが、震災前と同じ受注量を確保するのであれば2台必要だと思った。結果的に思い切って2台を導入して正解だった」。小林卓司社長はこう振り返る。震災からちょうど1年後の2012年3月11日に操業を再開した。現在の稼働率は震災前の半分程度だが、受注は持ち直し基調にある。 大小2台の深穴加工機で金型の冷却水やヒーターを通す穴、設備関係のシャフト穴などを加工する。直径1・5ミリメートルから同30ミリメートルの加工径に対応。最大長さ2400ミリメートルまで加工できる。長さ1メートルの穴をあけた時の誤差は1ミリメートル以内の真円度を実現する技術もある。 また、この加工技術を支えるだけの若手技術者もいる。30代の若手が中心の現場でありながら、材質、刃の研ぎ方、油の種類、ドリルの回転スピードなどのノウハウを蓄積している。 懸念は人材不足。「主力の6面加工に人材を充てている。深穴加工の受注・納期に影響がでないか心配」。このため、モノづくり中小企業に就職して技術を身につけたい若手技術者を積極的に採用する考え。中長期的に若手技術者を育成し、大手自動車メーカーの東北拠点向け受注の獲得を目指す。 「自動車業界はすそ野が広く、ロングラン。2次サプライヤーでもいい。エンジンブロックなどの冷却水やオイルが通る穴の加工を受注できれば、専用設備の導入も検討して対応したい」と意気込む。

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